デジタル市場レポート2019年7月版

Column 2019

2019/7/30

2019年7月 Non-Gameカテゴリー ダウンロード数急増アプリ

現在ゲーム以外ではどのようなアプリに人気が集まっているのか?国内Apple App Storeで、ゲームを除くアプリのみをピックアップし、過去30日でダウンロード数を急増させたトップ10アプリのカテゴリを調べて見ると、スマホ決済、写真加工、AR、無料音楽ダウンロード、ニュースアプリの人気が急増していることがわかります。


Figure 1 : 国内Apple App Store Non-Gameカテゴリ
過去30日間ダウンロード数急増アプリトップ10

(Source : Priori Data, App Store, June 27 - July 28, 2019, Japan)

その中の注目アプリの一つが、ファミリーマートがリリースしたスマホ決済アプリ「ファミペイアプリ」。このカテゴリでは「PayPay」が先行していましたが、「チャージ金額に対して最大15%還元」を含むキャンペーンで、ダウンロード数が急増し、アクセス障害が発生する等、話題を集めています。

 注目アプリの第二は、AIの画像認識技術を使って写真の性別や年代を変えることができるアプリ「FaceApp」。リリースは2017年1月と、決して新しいアプリではありませんが、本年7月に写真に写った人物を自然に老化させる「老人フィルター(OLD Filter)」が追加。これが海外のセレブや映画俳優に受け、多くの写真をアップロードしたことから、日本でも人気が出たと言われています。

 もう一つの注目アプリは、日本テレビが配信する公式ARコンテンツアプリ「mixta AR(ミクスタAR)」。アニメのキャラクターや芸能人を自分の携帯の中に登場させることができるARアプリで、日本テレビは本年7月6日に放送した音楽特別番組「The Music Day」でこのアプリを活用したことから、ダウンロードが急増したと推察できます。

ファミペイアプリ

FaceApp

mixta AR

(Source : Priori Data, Apple App Store, January 2019, Japan)

直近のMAU(月間アクティブユーザー数)では、2019年ダウンロード数を急増させた「Music Box」がトップとなっています。

MAUで特記すべきは、無料動画アプリの「GYAO!」が「YouTube」を上回る第2位にランクインしている点と、SNSの「Instagram」が「Twitter」「LINE」のアクティブユーザーよりも多くなっている点、また、動画アプリ「TVer」がMAUランキングトップ10内にランクインしている点が挙げられます。


Figure 3:国内Apple App Store  MAU(月間アクティブユーザー数)急増アプリトップ10

2019年 国内主要ニュースアプリ
日別ダウンロード数推移

国内Apple App Storeで、本年1月1日から7月23日の期間中、主要ニュースアプリの日別のダウンロード数を比較すると「SmartNews」が他アプリを大きく引き離して、ダウンロード数を増加させていることがわかります。

 このダウンロード数増加を牽引しているのが、「SmartNews」が2018年3月から開始した「クーポンチャンネル」。マクドナルドやガストなどで利用できるクーポン情報が集約されたチャンネルで、サービス開始から1カ月で1億PVを突破し、2019年6月末には累計20億PVを突破したと言われています。さらに「SmartNews」のクーポン利用回数も1億回を超えています。
 
 2019年に入ってからの「SmartNews」のダウンロード数は減少しており、さらに競合の「グノシー」も同様のクーポン・キャンペーン実施し、4月、6月には一時的に「グノシー」のダウンロード数が「SmartNews」を上回る日もありましたが、7月に入ってからは、テレビCMと連動した半額クーポンの配信、抽選で対象商品が無料となるクーポンが当たるキャンペーンを実施。本年の日別では最大のダウンロード数を記録しています。


Figure 2: 国内Apple App Store  主要ニュースアプリ 日別ダウンロード数推移
(Source : Priori Data, Apple App Store, January 1 - July 23, 2019, Japan)

「5G効果:どのアプリが5Gの恩恵を受けるのか?」

多くの場合、5Gをアプリケーションに統合するのは、アプリ開発者ではなく、携帯端末メーカーとそのオペレーティングシステムになります。しかしながら、特に導入後の初期の段階では、多くの人が新しいテクノロジーにアップグレードしていないため、アプリ開発者は5Gによって可能になる機能をどのようにアプリに追加するのかを慎重に検討する必要があります。

 このような状況ですが、今回大幅に改善される5G無線ネットワークから利益を得るであろうアプリのカテゴリーをピックアップしてみました。 


◆ストリーミングとビデオの再生

エンターテイメントアプリを維持するための最も重要な要素の1つはダウンロード速度です。 5Gはストリーミング・ラグの可能性を取り除き、大手企業がこれを採用することが予期できることから、NetflixやYoutubeのような現在主流のアプリにとって代わるテクノロジーが一斉に登場することでしょう。

 Googleは最近、Google Stadiaの計画を発表しました。これはNetflixやSpotifyのようなサブスクリプション・サービスですが、ビデオゲームを提供するものです。ユーザーは、ゲームをストリーミングしたり、ゲームプレイのライブ映像を即座に共有したり、ゲームを中断したのと同じ時点から、デバイスを即座に切り替えてプレイすることができます。これには懐疑的な意見があり、またスムーズなゲームプレイとトランディションを達成するのに必要なネットワーク速度についてかなり議論されてきましたが、この問題は5Gにとっては、さほど問題はないと言えます。

 そのため、5Gの導入により、オンラインプレイやデバイスの互換性を含むゲームアプリが投入され、ユーザーの増加が予想できます。

 ドローンでさえも、ビデオ・ストリームをモバイルデバイスに中継してリアルタイムに近いスピードでそれをコントローできるようになるでしょう。


◆VR&AR

VRとARのアプリは目新しいものではありませんが、それらの大量採用とスムーズな操作性はかねてより望まれてきました。

 「Pokemon Go」のようなARのサクセスストーリーでさえ、深刻なラグの問題でユーザーを不満にさせました。これらのアプリは今後、ダウンロード時間が短く、より仮想的な情報や拡張された情報を表示できるという利点があるだけでなく、ユーザーの迅速アクションに対するレスポンス時間が短縮され、はるかに使い勝手が良くなるのは確かです。

◆ファイル転送
 これには多くの説明は必要ありません。ユーザーは以前PCやラップトップに残されて仕事をモバイルアプリで実施することができるため、ファイル転送の高速化と信頼性の向上により「Dropbox」や「WeTransfer」などのアプリがはるかに普及します。 モバイルバンキングを介した送金も簡単に行えます。

◆ヘルスケア
 モバイル・ヘルスケアは業界に革命をもたらしています。モバイルでの診察予約と遠隔診察を可能にすることで、患者と医療スタッフの両方にとって時間とリソースが節約できます。しかし、これは、特に1日に数十人の患者を診察している医療提供者にとって、ビジネス、手術、および病院のネットワークにさらなる負担をかける可能性があります。質の悪いコミュニケーションは深刻な影響を与える可能性があるため、5Gの導入が必要となります。何故なら、5Gを導入したヘルスケアのアプリははるかに信頼性の高い動画での診察を容易にし、リアルタイムで医療画像のような大きなファイルの転送を可能にするからです。5Gはまた、この業界の発展に伴って追加されるさらなる機能にも対応できるようになるため、コストが削減され、ヘルスケアがより便利で利用しやすいものになります。

◆イベント

5Gの大容量化により、フェスティバルやコンサートのアプリがはるかに使いやすくなります。大規模なイベントではアプリが使用されることが多いのですが、ネットワークに接続されているデバイスが多すぎると、4Gでは正常に機能できないことから、通常これらのアプリは、オフラインのみで利用可能となっています。今後は、イベント参加中に多くの相互コミュニケーションを実施することが可能となり、コミュニケーションが確実に顧客に届くことが保証されることになります。

◆サードパーティ・ガジェットアプリ
 インターネット接続を使用するデバイスが増えるにつれて、これらをリモートで制御するアプリが増加することが予想されます。たとえば、スマートホーム向けのアプリは、接続性が向上するにつれてより一般的になるでしょう。

◆キラーアプリ
 技術の進歩は、常にアプリ開発者と共にさらなる革新の機会をもたらします。現在の多くのアプリやサービスは5Gで改善されていきますが、アプリ開発者がそのテクノロジーを利用して全く新しい、全く予期していなかったアプリケーションを開発する方法を見つけるかもしれません。

 私たちの携帯電話や世界とのやり取りの仕方を変えるであろう、これらの「キラー」アプリの可能性は、おそらく私たちが最も期待したいものと言えます。


引用:blog.prioridata.com 原文はこちらから