今回は、2020年1月度における日米のアプリ「ニュース」カテゴリーの利用動向を紹介します。
米国における新聞社大手のGannett(『USA Today』などを発行)と米国37州で地方紙を発行するGateHouse Media(New Media Investment Group傘下)が2019年8月に合併の合意を発表しました。後者が前者を約14億ドル(約1500億円)で買収したもので、新会社は米国最大の新聞社となりました。合併により『USA Today』の紙版廃止も視野に入れたデジタルへの移行が進むと見られています。米国の新聞業界では『The New York Times』のデジタル版有料会員数が2019年第3四半期に、ニュース関連のデジタル版としては初めて300万人の大台に乗ったことも話題になりました。
日本においても、新聞発行部数は1997年をピークに毎年5~8%ずつ減少が続いています(出典:日本新聞協会/外部リンク)。コスト削減はもちろん、速報性や即時性、拡散性といったの観点からいっても、ニュースの分野のデジタル移行は重要です。
そこで今回は、日本国内および米国アプリの「ニュース」カテゴリー2020年1月度ダウンロード数トップ5を比較し、その注目のアプリを紹介します。
2020年1月度国内市場では、iOSとAndroidニュースアプリのダウンロード数上位5社の顔ぶれは同じでした。キャリア系ニュースアプリが強いことも特色でしょう。
日米とも上位のほとんどがニュースアグリゲーション(契約する新聞社や雑誌社、配信社などのさまざまなニュースコンテンツを集約して提供する形態)アプリであることも興味深い点です。トップ10までランクを広げても、日米の既存の新聞・配信社が公開するアプリでランク入りしたのは、米国「CNN」(米iOS第5位)と日本「NIKKEI電子版」(日iOS第9位)のみでした。デジタルニュース市場は、従来のメディアやパブリッシャーとは異なる方向へダイナミックに広がっているといえるのではないでしょうか。
特に、米国のAndroidニュースアプリで圧倒的なダウンロード数(第2位の「Twitter」の2倍に近い)を集める「News Break: Local & Breaking」は、iOSでもランク2位で「Twitter」に続き、大成功を収めています。
News Breakは、2016年に米国で公開したアグリゲーションタイプのニュースアプリで、中国でニュースアプリ「一点資訊」を成功させたメンバーが2015年に米国で設立したParticle Mediaが提供しています。News Breakは高いテクノロジーを保持し、ローカルニュースや興味に合わせた高カスタマイズ機能が圧倒的な人気となっていますが、近年の米政権による対中政策の中で、このままメディアとしての成長が続くのか、不透明な部分があるかもしれません。
「SmartNews」は2012年に日本で公開され、2020年1月度国内ダウンロード数ではトップを争う人気アプリです。米国では2014年に公開され、米国300超のパブリッシャー(Business Insider、CBS、Entertainment Weekly、Golf.co、National Geographicなど)のニュースソースを地域やカテゴリー、トピックス別にお気に入り登録できる利便性や、オフライン閲覧機能が大人気となっています。国別に「SmartNews」アプリの2020年1月度ダウンロード数を比較すると、そのほとんどが日本(62%)と米国(36%)で構成されています。
先述のように、「News Break」の先端テクノロジーが、使いやすいニュースのカスタマイズとローカライズを可能にしているといわれています。そこで、Webとモバイルアプリに導入されたテクノロジーを解析するMIXRANKを利用して、「News Break」のiOSアプリの採用SDKを解析しました。
注目は、日本発のSDKが総じて振るわない中、「GMO SmaAD」が採用されている点です。これはGMOが提供するアプリ向けCPIとCPE広告アフィリエイトサービスで、「News Break」は2019年11月25日の更新バージョンから新しく採用しました。