デジタル市場レポート2019年10月版

Column 2019

2019/10/7

2019年8月米国Google Play 
Non-Game日本アプリダウンロード数トップ10

現在ゲーム以外ではどのようなアプリに人気が集まっているのか?国内Apple App Storeで、ゲームを除くアプリのみをピックアップし、過去30日でダウンロード数を急増させたトップ10アプリのカテゴリを調べて見ると、スマホ決済、写真加工、AR、無料音楽ダウンロード、ニュースアプリの人気が急増していることがわかります。


Figure 1 : 米国Google Play
Non-Game日本アプリダウンロード数ランキング

(Source : Priori Data, Google Play, August 2019, US)

このような状況の中でも注目すべきアプリは、「SmartNews」と「ibis Paint X」です。「SmartNews」は2014年から米国でのサービスを展開していますが、今年に入ってからのダウンロード数が急増しており、本年8月でのNon-Game日本アプリのダウンロード数では第1位、米国Google PlayのNews & Magazineカテゴリでも第4位にランクインしています。

 「ibis Paint X」は、イラスト作成ツールアプリ。日本ではあまり知られていませんが、全世界累計のアプリ数は4,500万を超えています。本年8月、米国Google PlayのArt & Designカテゴリで第1位にランクインしています。このツールを使って日本風のアニメ・キャラクターを作成できることが人気の理由と考えられます。

 かつて米国でダウンロード数で上位に来ていたフリマアプリ「Mercari」、コミュニケーションの「LINE」は、すでにピークを過ぎており、ダウンロード数は減少トレンドで推移しています。


Figure 2 :
(Source : Priori Data, Google Play , September 2017 - August 2019, USA) 

SmartNews

Ibis Paint X


2019年8月国内Apple App Store
トラベルカテゴリ
ダウンロード数トップ10

国内Apple App Store トラベルカテゴリで新しい動きがあります。本年8月、タクシー配車アプリ「DiDi Rider」のダウンロード数が、トラベルブッキングアプリ「Booking.com」、エアラインアプリの「ANA」、国内最大級のタクシーアプリ「JapanTaxi」を抑えて、ダウンロード数トップとなりました。

 DiDi は、2012年に中国で設立され、総額で2,060億ドル(約2.2兆円)を調達している世界屈指のユニコーン企業。日本では、2018年6月28日に「DiDiモビリティジャパン株式会社」をソフトバンクと共同で設立し,大阪では2018年9月27日より、東京では2019年1月17日よりトライアルのサービスを開始しています。



Figure 3:  国内Apple App Store トラベルカテゴリ
ダウンロード数ランキング

(Source : Priori Data, Apple App Store, July 2019, US)

「DiDi Rider」のダウンロード数の推移を、国内最大と言われる「JapanTaxi」と比較すると、まだ始まったばかりとも言えます。実際、東京でのサービスが開始されたのが本年4月で、その後サービスエリアを順次拡大させています。ダウンロード数では本年7月から急増し、7月ですでに「Japan Taxi」を上回る結果となっています。今後さらにダウンロード数が増加することが予測できます。

(Source : Priori Data, Apple App Store, January, 2018 – August, 2019, US)

DiDi Rider

JapanTaxi

コムスコア「OTT Intelligence」データによる
米国OTTの現状:後編

前回、コムスコアの「OTT Intelligence」のデータを活用し、米国でのデジタル端末の普及状況、Wi-Fi使用量、OTT利用世帯数、利用率、利用時間などをレポートしました。今回はその後編として、具体的にどのOTTコンテンツに人気が集まっているのか?OTTサービス利用の増加に伴い、「Code Cutter」と言われる従来あったケーブルTV/衛星TVの解約がどこまで進んでいるのか等をレポートします。

 なお、OTTとは、Over-The-Topの略語で、インターネット上で提供されるWebサイト、動画や音声などのコンテンツやサービス、あるいはそれらを提供する事業者を指す言葉で、そうした事業者の中でも、通信事業者やインターネットサービスプロバイダとは関わりのない企業が「OTT」と呼ばれます。その代表格は、動画配信サービス「YouTube」で、さらに最近は、より「テレビ」寄りのコンテンツを大容量で配信する「Netflix」が日本にも上陸して注目を集めています。

 まず米国で動画配信サイト「ビッグ4」と呼ばれている「NETFLIX」「YouTube」「amazon Prime Video」「hulu」を比較すると、米国のOTT視聴世帯で高い浸透率を持っていることが分かります。特に「NETFLIX」は70%を超える浸透率となっており、「YouTube」も50%を超えています。

 しかしこれを過去からのトレンドで比較した場合には、「NETFLIX」も「YouTube」も過去3年では際立った増加は示しておらず、頭打ちの状況になっています。逆にユーザーを増加させているのは「amazon」と「hulu」で、「amazon」では年間平均5.5ポイント、「hulu」では5.0ポイントのトレンドで浸透率を増加させています。 


Figure 6 : 総OTT視聴世帯の浸透率

(Source : comscore OTT Intelligence, March 2017, March 2018, March 2019, US)

次に米国OTT視聴世帯の他TVサービスの契約状況を調査してみると、OTT視聴世帯の半数以上が、同時に従来のTVメディアも契約していることが分かります。具体的には、OTT視聴世帯の65%が、OTTに加え、従来からのケーブル/衛星TVも契約しています。また「Code Cutters(コード・カッター)」と呼ばれ、ケーブル/衛星TVを解約し、OTTだけを視聴しているユーザーの比率は19%で、これに元々ケーブル/衛星TV加入経験のない世帯を加えると、米国では、OTT視聴世帯の35%はOTTのみ視聴となっていることが分かります。


Figure 7 :
(Source : comscore OTT Intelligence, 3-Month Average, Jan – March 2019, US)

さらにOTT視聴世帯を、「ケーブル/衛星TVも加入中」「ケーブル/衛星TV未加入」「ケーブル/衛星TVを解約しOTTのみ(Code Cutters )」に分け、そのOTTサービスの視聴時間を比較した場合には、「ケーブル/衛星TVを解約しOTTのみ(Code Cutters )」の視聴時間が他に比較して著しく長いことが分かります。その視聴時間は、「ケーブル/衛星TVも加入中」の2.3倍、「ケーブル/衛星TV未加入」の1.4倍となっています。

今回初めて、comscoreの「OTT Intelligence」のデータを活用して、米国におけるOTTサービスの状況をレポートしてきました。今後も時代の変化を的確に捉える画期的なデータを使って幅広いレポートを紹介していきます。是非ご期待下さい。


Figure 8: TVサービスタイプ別 OTT平均視聴時間
(Source : comscore OTT Intelligence, March 2019, US)