インターアローズ デジタル市場レポート 2021年1月号

エアナウ アプリ市場レポート
2021年1月号

2020年国内Apple App Storeレビュー

新年明けましておめでとうございます。本年も宜しくお願い申し上げます。
これまで「インターアローズ デジタル市場レポート」の名称で、インターアローズが提携しておりましたPrioridataをベースにデジタル市場データをMCF会員様へお届けしてまいりました。この度、PrioridataはAirnow社グループの一員となり、日本においても、英国Airnow社の日本支社Airnow株式会社がインターアローズサポートのもとに昨年立ち上がりました。今後はレポート名称を「エアナウ アプリ市場レポート」と改め、インターアローズ提携のSDKデータMixRankも交えて皆様へ配信させていただきますので、引き続きよろしくお願い申し上げます。

「エアナウ アプリ市場レポート」の第一弾は2020年を振り返り、国内Apple App Storeでのアプリ市場をレポート致します。2020年は、何と言ってもコロナ禍の影響でアプリ市場に大きな変化がもたらされました。コロナ禍によって、どのアプリがダウンロード数、売上金額を増加させたのか?逆にどのアプリが減少を余儀なくされたのか等、アプリ市場の変化をレポート致します。

 

ダウンロード数

2020年、コロナ禍はアプリのダウンロード数にも大きな影響を与えています。Figure 1は、2020年国内Apple App Store全カテゴリの年間ダウンロード数トップ10アプリを示したものですが、そのラインアップには過去にはなかったアプリがトップ10内にランクインしています。トップはWeb会議アプリの「Zoom Cloud Meetings」。テレワークの普及で、爆発的にダウンロードが急増しています。その他コロナ対策アプリの「COCOA」、給付金の早期申請のためにマイナンバーカードユーザーが増加した上で、支払い金額の25%のポイントを獲得できることでダウンロードが加速した「マイナポイント」アプリ、外出抑制から需要が高まったフードデリバリーの「Uber Eats」等が挙げられます。

 

Figure 1
国内Apple App Store
2020年総ダウンロード数ランキングトップ10

Figure 1

Source : Airnow社Airnow Data調べ

 

さらに、前年2019年の総ダウンロード数と2020年の総ダウンロード数を比較します。2019年からの増加数でトップ10アプリをリストアップすると、コロナ禍によってダウンロード数が急増したアプリが鮮明に浮かび上がってきます。

トップはやはり「Zoom Cloud Meetings」。その年間のダウンロード増加数は1,500万を超え、増加率は3,122%と驚異的な数値となっています。Web会議関連アプリでは、その他「Microsoft Teams」「Google Meet」がこのランキングのトップ10内にランクインしており、コロナ禍はWeb会議関連アプリのダウンロード数に最大の影響を与えたことがわかります。またフードデリバリー関連アプリにも影響があり、「Uber Eats」の他に「出前館」が第9位にランクインしています。

その他SNSでは「LINE」が第3位にランクしていますが、これは昨年4月の緊急事態宣言後、「LINE」がグループ・ビデオコミュニケーションや情報収集ツールとして利用され、さらにコンシューマーとのコミュニケーションを失った多数の企業が、LINE公式アカウントを新規に開設したことが原因とされています。またエンターテイメント系では、巣篭もり需要の拡大から音楽アプリの「Amazon Music」、社会現象にもなったSwitch版ゲーム「あつまれどうぶつの森」と巧妙に連動したゲームアプリ「どうぶつの森:ポケットキャンプ」が大幅にダウンロード数を増加させた結果となっています。

Figure 2:
国内Apple App Store
2019年 vs 2020年ダウンロード増加数ランキングトップ10アプリ

Figure 2

Source : Airnow社Airnow Data調べ

 

次に2020年にリリースされた新作アプリの状況はどうだったのでしょうか?Figure 3は、2020年にリリースされたアプリのみに限定して、国内Apple App Storeでの2020年総ダウンロード数トップ10を示したものです。結果は、やはりコロナ禍の影響を受けて、トップはコロナ対策アプリの「COCOA」。1,000万を超えるダウンロードを記録し、他アプリを大きく引き離した結果となっています。

その他は全て年間のダウンロード数が250万に満たないアプリですが、主なものを挙げると、iPhoneのウィジットを編集できる「Widgetsmith」、ゆうちょ初の通帳アプリ「ゆうちょ通帳アプリ」、「TikTok」で世界的成功を収めたBytedance社の動画編集アプリ「CapCut」、ゲームでは「Fate/Grand Order」で人気を得ているAniplex社の「ディズニー ツイステッドワンダーランド」、初音ミクをフィーチャーしたセガ社の「プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク」、さらに海外からのハイパーカジュアルゲームの「Tangle Master 3D」「Tile Master - Classic Match」「Cube Surfer!」がトップ10に入っています。

 

Figure 3:
国内Apple App Store
2020年リリースアプリ 2020年総ダウンロード数ランキングトップ10

Source : Airnow社Airnow Data調べ

 

売上金額

次に売上金額を見てみましょう。Figure 4は、2020年国内Apple App Store全カテゴリの売上金額トップ10アプリを示したものです。2020年の売上金額で特徴的なのは、コロナ禍によって巣篭もり需要が拡大し、ゲームアプリの売上が増加すると予想されがちですが、結果はそれとは異なり、特に過去からのメガヒットゲームの大半が前年に比較して売上金額が減少させています。その理由として考えられるのは、テレワークの拡大によって、通勤・通学時間にゲームアプリをプレイするユーザーが大幅に減少してしまったこと、またこれらのゲームアプリは、すでに売上のピークを過ぎていて今まで以上の売上増が困難なこと、さらに日本のゲームユーザーは自由時間が増加した場合、簡単なスマートフォンのゲームアプリよりは、じっくりプレイできるコンシューマーゲームをプレイする傾向があることが原因と考えられます。特にこの時期、ネットを介して友達に会える機能を持ち、プレイ時間が長いSwitch版「あつまれどうぶつの森」が大ヒットしたため、アプリゲームユーザーがこちらへ流れたことが推察できます。

また売上金額で特徴的なのは、巣篭もりによってコミックアプリの需要が増加し、「LINEマンガ」「ピッコマ」がトップ10内にランクインしていることが挙げられます。特に「ピッコマ」は、前年2019年に比較して、+94.3%売上を増加させています。

 

Figure 4:
国内Apple App Store
2020年総売上金額ランキングトップ10アプリ

Source : Airnow社Airnow Data調べ

 

では、2019年からの増加額で見た場合はどうだったのでしょうか?ダウンロード数同様、前年2019年の総売上金額と2020年の総売上金額を比較し、2019年からの増加額でトップ10アプリをリストアップすると、いくつかの特徴が見られます。

トップ10中、5アプリはゲームアプリですが、大別して3つのタイプに分類できます。トップはコナミ社の野球ゲームアプリ「プロ野球スピリッツA」で、第7位には同社のサッカーゲームアプリ「efootball PES 2021」がランクインしています。コロナ禍によって売上を増加させたアプリの特徴の第一は、まずスポーツ系のゲームアプリであることが分かります。これはコロナ禍によって開催を延期され、また入場制限を強いられたプロ野球、サッカーファンが、これらのゲームに向かったことが推察できます。

売上を増加させたゲームアプリの第2の特徴は、「Rise of Kingdoms」「FFBE幻影戦争」「Age of Z Origins」等のロールプレイング、ストラテジー系のゲームとなっている点です。これは巣篭もりよって自由時間が増えたユーザーが、よりストーリーに富み、じっくり時間をかけてプレイできるゲームに向かったと考えられます。そして第3の特徴は、運動不足解消のためのウォーキング・散歩を要するゲームアプリです。これに該当するのが「ドラゴンクエストウォーク」で、売上増加額ではトップ10には入っていませんが、同様に「Pokémon GO」も売上を増加させています。

他カテゴリで売上を増加させたアプリのカテゴリとしては、前述のコミックアプリ「ピッコマ」が挙げられますが、その他に動画系アプリの売上も急増した結果となっています。具体的には、「ABEMA」「YouTube」「U-NEXT」が、2019年の売上金額に比較して、+60%以上の売上増を達成しています。

 

Figure 5:
国内Apple App Store
2019年 vs 2020年売上増加額ランキングトップ10アプリ

Source : Airnow社Airnow Data調べ

 

最後に2020年にリリースされた新作アプリの状況はどうだったのでしょうか?Figure 6は、2020年にリリースされたアプリのみに限定して、国内Apple App Storeでの2020年総売上金額トップ10を示したものです。

売上トップ10は全てゲームアプリで、トップはAniplex社の「ディズニー ツイステッドワンダーランド」。2020年総売上金額ランキングでは12位ですが、昨年リリースされた新作アプリではすでに7,100万ドル(約73億円)を超えています。これに昨年7月にリリースされたスクウェア・エニックス社の「ドラゴンクエストタクト」が続いています。

新作アプリでの注目は、miHoYo社の「Genshin Impact(原神)」。昨年9月にリリースされたのにも関わらず、新作アプリの年間売上ランキングで4位。昨年12月の総合売上金額ランキングでは9位にランクインしています。さらにこのゲームアプリの海外での評価は高く、昨年10月21日、米国のApple App Storeゲームカテゴリの売上金額ランキングでは第1位を獲得しています。

 

Figure 6:
国内Apple App Store
2020年リリースアプリ 2020年総売上金額ランキングトップ10

Source : Airnow社Airnow Data調べ

 

iOS版「ディズニー ツイステッドワンダーランド」アプリ 使用SDK一覧

弊社が国内総代理店となっている米国MIXRANKは、データの取得が難しいiOSアプリ内での採用SDKデータを提供できることで、世界的に高い評価を得ています。今回のレポートは、このMIXRANKのデータを使用して、上記トピックス中、2020年の新作アプリで売上トップになったiOS版「ディズニー ツイステッドワンダーランド」を取り上げ、このアプリが現在どのSDKを採用しているのかレポートします。

 下記Figure 4が、2020年9月24日のアップデートの際に「ディズニー ツイステッドワンダーランド」が採用したSDKの一覧となります。その特徴は、採用しているSDK数は少なく、リリース後SKDの追加・削除はありませんが、最新のSDKを効率良く採用しています。具体的には、アプリ開発に関しては、マルチプラットフォーム対応を考慮して「Unity」を採用し、グラフィック向上では「Metal」を採用しています。またユーザーの行動分析を重視しているようで、「Keen」と「TreasureData」を使用し、さらに広告測定では「Adjust」、クラッシュ分析では「SmartBeat」を採用しています。

 

Figure 7:
2020年9月24日
iOS版「ディズニー ツイステッドワンダーランド」採用SDK一覧

( Source : MIXRANK社調べ)

 
 
 
 
Airnow

Airnow社は、英国ロンドンに本社を持つ、アプリ・マネジメント・ソリューション提供会社です。アプリ市場分析データ、アプリ配信、アプリ・サイバーセキュリティ、アプリ・マネタイゼーションのサービスをワンストップで提供しています。Airnow Data(旧PrioriData)は、このAirnowのアプリ市場分析データサービス部門。アプリストア上でランキングされているアプリのダウンロード数、売上金額データを提供しています。デイリーベースで55カ国、カテゴリ分析、パブリッシャー市場占有状況、ダウンロード数、売上金額、DAU、MAU、及びARPDAU(1日のアクティブユーザー一人当たりの売上金額)のデータを提供しています。MAU、DAUは通常アプリに実装された測定用SDKを使い、モバイルアプリユーザをパネルとして推定値を出しますが、 Airnow Data(旧PrioriData)は、Airnow社傘下企業およびデータパートナーとの提携により150万社のデベロッパー及びパブリーシャーデータと、トラッキング対象ディバイスは35億とビックデータを活用し算出されているのが特徴です。クライアントにはHSBC, Mastercard, ebay, PayPal, Unilever, Sony, BMWなどがあります。

詳しくは https://www.airnowjapan.com/

 
 
MixRank

米国サンフランシスコで生まれた先進的なテクノロジーデータ「MIXRANK」は、WebサイトテクノロジーからモバイルSDKデータ、ディスプレイ・テキスト広告まで、総括的にデータをトラックします。特にWebテクノロジーと、iOSを含むモバイルアプリ・SDKデータの両方をトラックしている企業はほとんどなく、MIXRANKが高い評価を受けてる理由の1つです。SDKに関しては、世界200カ国、アプリ及びアプリ内で採用されているSDKデータを提供。取得が難しいと言われるiOSのアプリデータに関しても、760万以上のiOSアプリの実装SDKデータを保有。さらにそれがいつ採用され、いつ削除されたかのデータも提供可能です。

詳しくは https://interarrows.com/mixrank.html

 
 

データ提供

インターアローズ

株式会社インターアローズ

インターアローズは、 デジタルマーケティング&ソリューション・エージェンシー。ICT世界市場における技術動向の調査および評価を通じて、革新的なインターネットデータおよびソリューションサービスを顧客に提供しています。 弊社はまた、グローバルな技術とビジネスを日本に紹介することを専門としています。 戦略的海外パートナーには、Airnow、Airnow Data、MIXRANK、UXCam、およびCrazy Eggがあります。 インターローズは東京とロンドンにオフィスを構えています。

詳しくは http://www.interarrows.com/

 
 

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★アプリの利用状況を動画、タッチヒートマップで分析!さらにマシーンラーニング技術を活用して人間では気づかないアプリUXの問題点を自動検出。
次世代のアプリUX分析ツール「UXCam(ユーエックスカム)」:https://uxcamjapan.com/

★全世界55カ国のApple App Store、Google Playでランキングされているアプリのダウンロード数、売上金額データをご提供!
スマーフォンアプリ市場分析データ Airnow Data(旧Priori Data):https://www.airnowjapan.com/

★世界200カ国、アプリ及びアプリ内で採用されているSDKデータを提供。
取得が難しいと言われるiOSのアプリデータに関しても、760万以上のiOSアプリの実装SDKデータを保有。さらにそれがいつ採用され、いつ削除されたかのデータも提供可能。
先進のスマートフォン・アプリデータ「MIXRANK(ミックスランク)」:https://www.interarrows.com/mixrank.html

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