インターアローズ デジタル市場レポート 2020年12月号

インターアローズ デジタル市場レポート
2020年12月号

国内で躍進するアジア系アプリ

最近の国内アプリストアでの新しい動きとして、アジア系のアプリが、ダウンロード数ランキングのみならず、かつては日本アプリの牙城であった売上金額ランキングの上位に入ってきていることがあげられます。具体的には、ゲームカテゴリでは、中国NetEase社の「荒野行動」がゲーム売上金額ランキングトップ10アプリの常連となり、エンターテイメントカテゴリでは、同じく中国ByteDance社の「TikTok」が、国内でも一大ブームを創出しています。ではその他、このようなメガヒット・アプリの水面下で、現在どのようなアジア系アプリが日本市場で躍進しているのか?そこで今号は、国内Apple App Storeで現在売上を伸ばしているアジア系エンターテイメント系アプリにフォーカスし、どのようなアプリが日本でのビジネスを拡大しているのかをレポートします。

まず、現在、国内で売上を増加させているアジア系アプリのカテゴリは、ゲームとSNSです。ゲームでは、中国系企業がメインで、miHoYo社の「Genshin Impact(原神)」、YOTTA GAMES社の「Mafia City: War of Underworld」、C4社の「放置少女〜百花繚乱の萌姫たち〜」、NetEase社の「Identity V」があげられます。

またSNSカテゴリでは、台湾17LIVE社の「LIVIT - 17LIVE」、シンガポールBIGO TECHNOLOGY社の「BIGO LIVE」があげられます。これらのアプリの特徴として、SNSと言っても「Facebook」「LINE」等とは異なり、アジアで人気のライブ・ストリーミングのSNSとなります。日本でも人気が高まっているのは確かです。

これらアプリの本年10月、Apple App Storeでの売上金額を調査してみると、ゲームでは「Genshin Impact(原神)」が、リリース日が本年9月26日にもかかわらず、売上金額では第7位にランクインし、その売上金額は1,167万ドル(約12億円)と驚異的なものとなっていることがわかります。また今回取り上げたアプリでは最下位の「Identity V」でも本年10月の売上金額は、257万ドル(約2億7千万円)を維持しています。

SNSカテゴリの売上では、「LIVIT - 17LIVE」が、「LINE」、出会い系の「Pairs(ペアーズ)」に続いて第3位にランクインし、売上金額も248万ドル(約2億6千万円)に達しています。アジア系のアプリはすでにここまで日本の売上金額ランキングに入ってきている状況です。

 

Figure 1
国内Apple App Store
2020年10月 カテゴリ別売上ランキング&売上金額

Figure 1 Figure 1

Source : Airnow Data(旧Priori Data/Apple App Store, October 2020, Japan)

 

これらのアプリの特徴は、当然のことながら長期間に渡って、アクティブユーザーを維持している点です。下記Figure2は、今回ピックアップしたアジア系アプリの本年1月から10月までのMAU(月間アクティブユーザー数)の推移を示したものです。これによれば、アプリによりアクティブユーザー数がダウンする月もありますが、全体的な傾向として、各アプリが継続的にアクティブユーザーを維持し続けていることがわかります。またMAUトップは、ゲームの「Identity V」で、すでにMAUのピークは過ぎている感はありますが、依然として高いレベルのアクティブユーザー数を維持しています。

Figure 2:
国内Apple App Store
MAU(月間アクティブユーザー数)推移

Figure 2

Source : Airnow Data(旧Priori Data)/Apple App Store, January – October, 2020, Japan

 

この結果は、売上金額にも反映しています。下記Figure3は、上記アプリの本年1月から10月までの売上金額の推移を示したものですが、「Genshin Impact(原神)」の売上が突出しているのを除いて、各アプリが長期に渡って安定した売上を維持しているのがわかります。またこの傾向はMAUも含めて、来年にかけても続くことが予想できます。

 

Figure 3:
国内Apple App Store
売上金額推移

Source : Airnow Data(旧Priori Data)/Apple App Store, January – October, 2020, Japan

 

これらのアプリの強みは、やはり日本のアプリ市場、特性を理解した上で、日本で成功するアプリをリリースしている点にあると思われます。その理由として、今回ピックアップしたアジア系アプリパブリッシャーは、Yotta Games社を除いて、すでに日本に支社を設立し、日本市場、日本人ユーザーの嗜好を調査し、それに合致、カルチャライズしたアプリを提供しています。ゲームアプリの「Genshin Impact(原神)」「放置少女」「Identity V」は、完全に日本のアニメをベースとしたキャラクターデザインにしていますし、「LIVIT-17LIVE」では、日本の芸能人を多数登場させて、日本市場に融合させています。

かつて日本のアプリ市場は国産アプリの独占市場でしたが、今後はこのようなアジア系アプリがランキングの上位に入ってくると思われます。日本のアプリパブリッシャーもこれに対抗しつつ、結果として、日本のアプリ市場が、より魅力あるアプリに溢れ、活性化し、拡大化していくことを期待したいと思います。

 

スクリーンショット:

Screenshot1

Source : Apple App Store

 

iOS版「Genshin Impact(原神)」アプリ 使用SDK一覧

弊社が国内総代理店となっている米国MIXRANKは、データの取得が難しいiOSアプリ内での採用SDKデータを提供できることで、世界的に高い評価を得ています。今回のレポートは、このMIXRANKのデータを使用して、上記で紹介し、現在国内で売上を急増させている「Genshin Impact(原神)」を取り上げ、このアプリが現在どのSDKを採用しているのかレポートします。

下記Figure 4が、本年11月18日のアップデートの際に「Genshin Impact(原神)」が採用したSDKの一覧となります。その特徴は、アプリ開発に関しては「Firebase」関連のツールを採用し、またマルチプラットフォーム対応を考慮して「Unity」も採用しています。またグラフィック向上では「Metal」、広告測定では「Adjust」、さらにFacebook関連のSDKを多用して、Facebookとの連携を強化していることが推察できます。

 

Figure 4:
2020年11月18日
iOS版「Genshin Impact(原神)」採用SDK一覧

(Source : MIXRANK, iOS App, “Genshin Impact(原神)”, November 18, 2020)

 
 
 
 
Airnow

Airnow社は、英国ロンドンに本社を持つ、アプリ・マネジメント・ソリューション提供会社です。アプリ市場分析データ、アプリ配信、アプリ・サイバーセキュリティ、アプリ・マネタイゼーションのサービスをワンストップで提供しています。Airnow Data(旧PrioriData)は、このAirnowのアプリ市場分析データサービス部門。アプリストア上でランキングされているアプリのダウンロード数、売上金額データを提供しています。デイリーベースで55カ国、カテゴリ分析、パブリッシャー市場占有状況、ダウンロード数、売上金額、DAU、MAU、及びARPDAU(1日のアクティブユーザー一人当たりの売上金額)のデータを提供しています。MAU、DAUは通常アプリに実装された測定用SDKを使い、モバイルアプリユーザをパネルとして推定値を出しますが、 Airnow Data(旧PrioriData)は、Airnow社傘下企業およびデータパートナーとの提携により150万社のデベロッパー及びパブリーシャーデータと、トラッキング対象ディバイスは35億とビックデータを活用し算出されているのが特徴です。クライアントにはHSBC, Mastercard, ebay, PayPal, Unilever, Sony, BMWなどがあります。

詳しくは https://www.airnowjapan.com/

 
 
MixRank

米国サンフランシスコで生まれた先進的なテクノロジーデータ「MIXRANK」は、WebサイトテクノロジーからモバイルSDKデータ、ディスプレイ・テキスト広告まで、総括的にデータをトラックします。特にWebテクノロジーと、iOSを含むモバイルアプリ・SDKデータの両方をトラックしている企業はほとんどなく、MIXRANKが高い評価を受けてる理由の1つです。SDKに関しては、世界200カ国、アプリ及びアプリ内で採用されているSDKデータを提供。取得が難しいと言われるiOSのアプリデータに関しても、760万以上のiOSアプリの実装SDKデータを保有。さらにそれがいつ採用され、いつ削除されたかのデータも提供可能です。

詳しくは https://interarrows.com/mixrank.html

 
 

データ提供

インターアローズ

株式会社インターアローズ

インターアローズは、 デジタルマーケティング&ソリューション・エージェンシー。ICT世界市場における技術動向の調査および評価を通じて、革新的なインターネットデータおよびソリューションサービスを顧客に提供しています。 弊社はまた、グローバルな技術とビジネスを日本に紹介することを専門としています。 戦略的海外パートナーには、MIXRANK、UXCam、およびCrazy Eggがあります。 インターローズは東京とロンドンにオフィスを構えています。

詳しくは http://www.interarrows.com/

 
 

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スマーフォンアプリ市場分析データ Airnow Data(旧Priori Data):https://www.airnowjapan.com/

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