インターアローズ デジタル市場レポート 2020年11月号

インターアローズ デジタル市場レポート
2020年11月号

最新Apple App Storeでの注目新興パブリッシャー

本年は新型コロナウィルスが、アプリストアにも劇的な変化をもたらしました。具体的には、在宅勤務・テレワークの増加によって、「Zoom」や「Google Meet」、「Microsoft Teams」等のTV会議システムのダウンロード数が世界規模で急増し、その他、在宅時間の増加から、「あつまれ どうぶつの森」等のゲームが空前のヒットとなりました。アプリでも国内では「荒野行動」を筆頭に、多数のゲームアプリがアクティブユーザーを増加させました。

では、現在はどうなっているのでしょうか?コロナウィルスの第二波が拡大しているグローバル市場で、現在どのようなアプリがダウンロード数・売上金額を急増させているのでしょうか?今回のレポートは、Apple App Storeのグローバル市場2020年9月のデータを活用し、現在ダウンロード数・売上金額を急増させている注目の新興パブリッシャー3社をピックアップしてみました。そして彼らがどのようなアプリをリリースし、そのアプリがどこで人気を博し、どれくらいのダウンロード数・売上金額なのかレポートします。

 

1.InnerSloth社

注目新興パブリッシャーの1社は、2015年設立の米国ゲームアプリ開発会社・パブリッシャーInnerSloth社です。彼らが開発したアクションゲーム「Among Us!」が、現在グローバル市場で大ブレイクしています。実はこのアプリは2018年7月にリリースされた後、2年間は全く売れなかったのですが、本年7月、世界的に人気のあるゲーム・ストリーマー「xQc」が配信・紹介したことでブレイクし、本年8月からダウンロード数・売上が急増しています。本年9月でのグローバルダウンロード数は約2,500万で、売上金額は300万ドルを超えています。

 
 

Figure 1:

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Source : Airnow Data(旧Priori Data)

 

ゲーム内容は、4-10人のユーザーがオンラインで参加し、協力し合いながら宇宙船を出航させる目的のゲームです。但しユーザーの1人は詐欺師(インポスター)となり、他のユーザーに気づかれずに任務を妨害したり、殺害したりして宇宙船の出航を阻止する内容となっています。日本のゲーム「人狼」に似たゲーム内容です。

 

スクリーンショット:

Screenshot1

Source : Airnow Data(旧Priori Data)

 

このゲームのリリースからの国別累計ダウンロード数・売上金額を調査してみると、アメリカで圧倒的に人気を博していることがわかります。アメリカは、ダウンロード数では全世界の36%を占め、売上金額では74%を占めており、2位以下のシェアは10%以下となっています。

Figure 2:
Apple App Store
グローバル市場
「Among Us!」国別累計ダウンロード数・売上金額

Figure 2

Source : Airnow Data(旧Priori Data)/June 2018 – September 2020, Global)

 

このアプリで驚かされるのは、いわゆるインフルエンサー(この場合はゲーム・ストリーマー「xQc」)がユーザーに与える影響力です。「Among Us!」は、約2年間ほとんど無名のアプリでしたが、このインフルエンサーの紹介によって、本年9月には「Zoom」を追い抜き、グローバル市場でダウンロード数No.1となっています。もちろんゲーム内容も大きく関与していると思いますが、特にアメリカはこのようなインフルエンサーの影響を受けやすい市場かもしれません。

 

2.Cross Forward Consulting, LLC社

注目新興パブリッシャー2社目は、ユーティリティ、仕事効率化、ヘルス&フィットネス関連のアプリを配信している米国のアプリパブリッシャー、Cross Forward Consulting, LLD社です。このパブリッシャーが、本年9月16日にリリースした仕事効率化アプリ「Widgetsmith」は、グローバル市場リリース後13日間で、1,200万ダウンロード数を超え、仕事効率化カテゴリでは「Gmail」を抜いて、No.1になっています。

 

Figure 3:

Source : Airnow Data(旧Priori Data)

 

「Widgetsmith」は、iOS 14で大幅に機能アップしたウィジェットを使ってホーム画面をカスタマイズできるアプリです。利用できるウィジェットは時計、日付・カレンダー、写真、自由テキスト、リマインダー、歩数計、アクティビティ、日の出・日の入り、月齢等となっています。時計やカレンダーはiOS標準のウィジェットも用意されていますが、「Widgetsmit」はフォントや背景のカスタマイズ機能が高く評価されて、このダウンロード数になっています。

 

スクリーンショット:

Screenshot2
 

国別の累計ダウンロード数、売上金額では、アメリカが圧倒的で、ダウンロード数では31%、売上金額では69%を占めています。このアプリは日本でも好評で、日本のダウンロード数は160万を超え、中国に続いて第3位となっています。

 

Figure 4:
Apple App Store
グローバル市場
「Widgetsmith」国別累計ダウンロード数・売上金額

Source : Airnow Data(旧Priori Data)

 

このアプリの成功は、何と言ってもリリース日とアプリのクオリティであると思われます。「iOS 14」バージョンでは、ついにウィジェットをホーム画面におけることになり、このパブリッシャーは、このタイミングに合わせて、ウィジットを簡単にカスタマイズできるアプリをタイムリーにリリースしています。同様なアプリもこのタイミングで複数リリースされていますが、「Widgetsmith」は、写真ウィジットによる差別化で成功したと思われます。iOS標準の写真アプリは目的の写真を表示することができないのに対して、「Widgetsmith」は、子供や好きな芸能人、ペットの写真等をランダムにウィジェットとして表示できるため、そこに人気が高まったと思われます。

 

3.miHoYo Limited社

今回ご紹介する注目新興パブリッシャーの最後は、中国のmiHoYo Limited社です。日本にも支社を持つゲーム開発会社で、近年日本でヒットした「崩壊学園」「崩壊3rd」を開発したパブリッシャーでもあります。今回このパブリッシャーが本年9月26日にリリースした「Genshin Impact」(日本語タイトル「原神」)が、日本のみならずグローバル市場でもブレイクしています。また注目はダウンロード数のみではなく、着実に売上金額を増加させている点です。

 

Figure 5:

 

ゲーム内容は、基本無料のファンタジー・オープンワールド・アクションロールプレイングゲームです。スマートフォンの他にPC(Microsoft Windows)、PlayStation 4、Nintendo Switchのマルチプラットフォーム展開を予定しており、miHoYoとしては「崩壊学園」シリーズに続く、2番目のオリジナルIPタイトルとなります。

 

スクリーンショット:

Screenshot3
 

国別の累計ダウンロード数、売上金額を調べてみると、このアプリの特徴が明確に理解できます。それは中国、アメリカ、日本と言うアプリの3大市場において、ダウンロード数のみならず売上金額を急増させていることです。以前の「崩壊学園」以上の勢いで、グローバル市場での売上拡大を図っています。

 

Figure 6:
Apple App Store
グローバル市場
「Genshin Impact」国別累計ダウンロード数・売上金額

Figure 6
 

「Genshin Impact」は、中国では異なるIDでアプリをリリースしているため、別枠になりますが、ダウンロード数で比較した場合、トップは中国で約400万。これにアメリカが122万、日本が107万で続きます。売上金額では中国が圧倒的で2,163万ドル、第2位は日本の972万ドル、第3位はアメリカの543万となっており、他の国を大きく引き離しています。

このアプリで特記すべきは、アプリの内容が日本のアニメをベースとしたRPGゲームにも関わらず、ダウンロード数ではアメリカが中国に次ぐ第2位にランクインしている点、さらに売上金額でもアメリカが第3位に入っている点です。アニメをベースとしたRPGゲームは日本のパブリッシャーのお家芸でしたが、過去、日本のパブリッシャーがこの短期間でここまでのパフォーマンスを実現した例はありませんでした。今回中国miHoYo Limited社の「Genshin Impact」は、日本のパブリッシャーとって、グローバル市場におけるRPGゲームの展開例として良い参考になると思われます。

 
 
 
Airnow

Airnow社は、英国ロンドンに本社を持つ、アプリ・マネジメント・ソリューション提供会社です。アプリ市場分析データ、アプリ配信、アプリ・サイバーセキュリティ、アプリ・マネタイゼーションのサービスをワンストップで提供しています。Airnow Data(旧PrioriData)は、このAirnowのアプリ市場分析データサービス部門。アプリストア上でランキングされているアプリのダウンロード数、売上金額データを提供しています。デイリーベースで55カ国、カテゴリ分析、パブリッシャー市場占有状況、ダウンロード数、売上金額、DAU、MAU、及びARPDAU(1日のアクティブユーザー一人当たりの売上金額)のデータを提供しています。MAU、DAUは通常アプリに実装された測定用SDKを使い、モバイルアプリユーザをパネルとして推定値を出しますが、 Airnow Data(旧PrioriData)は、Airnow社傘下企業およびデータパートナーとの提携により150万社のデベロッパー及びパブリーシャーデータと、トラッキング対象ディバイスは35億とビックデータを活用し算出されているのが特徴です。クライアントにはHSBC, Mastercard, ebay, PayPal, Unilever, Sony, BMWなどがあります。

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データ提供

インターアローズ

株式会社インターアローズ

インターアローズは、 デジタルマーケティング&ソリューション・エージェンシー。ICT世界市場における技術動向の調査および評価を通じて、革新的なインターネットデータおよびソリューションサービスを顧客に提供しています。 弊社はまた、グローバルな技術とビジネスを日本に紹介することを専門としています。 戦略的海外パートナーには、comscore、MIXRANK、UXCam、およびCrazy Eggがあります。 インターローズは東京とロンドンにオフィスを構えています。

詳しくは http://www.interarrows.com/

 
 

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