インターアローズ デジタル市場レポート 2020年10月号

インターアローズ デジタル市場レポート
2020年10月号

Apple App Store
カテゴリ別上位アプリの寡占状況

以前からアプリストアでは、ランキング上位アプリによる売上の独占・寡占化が指摘されてきました。特に最大の市場規模であるゲームカテゴリでは、ダウンロード数において新作アプリが上位にランクインする可能性がありましたが、売上金額では、過去からのスーパーヒットが依然売上を独占するため、新作アプリがトップ10内にランクインすることは、非常に稀なケースでした。


では現在はどうなのでしょうか?今回のレポートでは、国内Apple App Store、2020年8月のデータを活用し、ゲームのみならず、売上のある全カテゴリを調査し、どのカテゴリで上位アプリによる売上の寡占化が進んでいるのか、各カテゴリで寡占化を進めているのはどのアプリなのかを精査してみました。 今後、新規にアプリをリリースする方々にとってこのレポートは、アプリストアのカテゴリ分析の有効なデータとしてご活用できると思われます。

 

6カテゴリでは、上位20アプリの売上金額が、全カテゴリ売上の80%を超える

下記Figure 1は、本年8月、国内Apple App Storeでのカテゴリ別の全売上金額を調査し、ランキング1位-3位、4位-10位、11位-20位、1位-20位のアプリの売上金額の合計が、カテゴリ全体の何パーセントを占めたかをまとめたチャートです。

課金のある全23カテゴリの内、17カテゴリの上位20位までのアプリの売上が、カテゴリ全体の50%を超えていることが分かります。上位アプリによる売上金額の寡占化が進んでいるカテゴリは、「Books」(1位-20位で93.0%)、「Music」(同86.3%)、「Entertainment」(同85.5%)、「Social Networking」(同84.0%)、「Photo & Video」(同83.2%)、「Magazine & Newspapers」(80.6%)となっており、これらのカテゴリでは上位20位までの売上金額が、カテゴリー全体売上の80%以上を占めています。

かつて上位アプリの寡占化が指摘されていた「Games」カテゴリに関しては、カテゴリ全体の市場拡大と共に、上位スーパーヒットアプリの売上金額が過去に比較して減少したため、結果として上位アプリの寡占化は緩和の傾向にあります(上位20位の売上シェアは47.7%)。

 
 

Figure 1
国内Apple App Store
2020年8月
カテゴリ別上位アプリ売上金額シェア

Figure 1

Source : Airnow Data(旧Priori Data)

 

「Books」カテゴリ

次に、上位20位までの売上比率がトップの「Books」カテゴリを調査すると、売上金額トップ10アプリは全てマンガ/コミックアプリであることが分かります。このカテゴリで特徴的なのは、第1位の「ピッコマ」と第2位の「LINEマンガ」が、他アプリを大きく引き離して、圧倒的なマーケットシェアを獲得している点です。その金額は双方とも月間900万ドルを超え、この2アプリの合計シェアだけで「Books」カテゴリ全体の60%を超える結果となっています。「Books」カテゴリでは、「ピッコマ」と「LINEマンガ」が、上位アプリ寡占化のキーアプリとなっています。

 

Figure 2:
国内Apple App Store
2020年8月
「Books」カテゴリ別上位アプリ売上金額シェア

Figure 2

Source : Airnow Data(旧Priori Data))

 

「Music」カテゴリ

次に「Music」カテゴリを調査してみると、「Books」カテゴリ以上に上位アプリの寡占化が進んでます。Apple App Storeでは、トップの「LINE Music」だけで「Music」カテゴリ全体の55.8%を独占しています。第2位以下のアプリのシェアは全て10%以下です。また他の有力な音楽サービス「Spotify」や「Apple Music」はアプリストア以外で課金しているため、このランキングにはリストされず、これを考慮すれば、「Music」カテゴリは、これら大手ミュージックサービスプロバイダーに独占されており、他のプロバイダーにとっては非常に厳しい市場になっていると思われます。

 

Figure 3:
国内Apple App Store
2020年8月
「Music」カテゴリ別上位アプリ売上金額シェア

Source : Airnow Data(旧Priori Data)

 

「Social Networking」カテゴリ

「Social Networking」の場合は、「LINE」がかなりのシェアを保持しているように思われがちですが、実際のカテゴリシェアは20%で、他アプリの売上金額も高く、第5位までの累計シェアでカテゴリ全体の50%を超える寡占状況となっています。「LINE」以外で売上を上げているのは、「Pairs」「タップル」「ウィズ」等の出会い系・マッチングアプリと、「LIVT」(17LIVE)「ポコチャ」等のライブ配信アプリとなっています。これらアプリの売上は高く、第6位の「ポコチャ」までは全て月間100万ドルを超えています。

 

Figure 4:
国内Apple App Store
2020年8月
「Social Networking」カテゴリ別上位アプリ売上金額シェア

Source : Airnow Data(旧Priori Data)

 

「Game」カテゴリ

最後に「Game」カテゴリはどうなのでしょうか?過去においては「パズル&ドラゴン」「モンスターストライク」「Fate/Grand Order」の3アプリが長期に渡って売上を独占してきましたが、状況は徐々に変化しつつあるようです。

まずトップは「Fate/Grand Order」となっており、第2位には中国NetEase Games社の「Knives Out(荒野行動)」がランクインしています。両アプリの売上金額は月間2,300万ドルを超えており、他を圧倒しています。しかしながら「Game」カテゴリでの上位アプリの寡占化は緩和しつつあり、第3位までの累計シェアは17.7%、第5位までで25.2% に止まっています。これはカテゴリ全体の市場拡大と共に、他アプリの売上金額が増加していることを意味しています。その良い例が、「ディズニーツイステッドワンダーランド」と「ドラゴンクエストタクト」です。両アプリとも本年にリリースされた新作アプリですが、「ディズニーツイステッドワンダーランド」の本年8月売上金額は1,061万ドルで売上金額ランキング7位、「ドラゴンクエストタクト」の売上金額は956万ドルで第8位にランクインしています。

 

Figure 5:
国内Apple App Store
2020年8月
「Game」カテゴリ別上位アプリ売上金額シェア

Source : Airnow Data(旧Priori Data)

 

「iOS版「Fate/Grand Order」アプリ使用SDK一覧

弊社が国内総代理店となっている米国MIXRANKは、データの取得が難しいiOSアプリ内での採用SDKデータを提供できることで、世界的に高い評価を得ています。今回のレポートは、このMIXRANKのデータを使用して、上述のAniplex社の「Fate/Grand Order」を取り上げ、アニメ系RPGゲームとして現在どのSDKを採用しているのかをレポートします。

下記Figure 6が、本年5月1日のアップデートの際の「Fate/Grand Order」が採用しているSDKの一覧となります。その特徴は、「Fate/Grand Order」の採用SDK数は、他ゲームアプリに比較して極端に少なく、またアップデートの際に頻繁にSDKの入れ替えを行なっていない点が挙げられます。

アプリ開発では、マルチプラットフォームでの開発が可能な「Unity」を採用しており、またクラッシュ分析では、「Crashlytics」ではなく「SmartBeat」を採用しています。さらに広告のアトリビューション分析では、他アプリの大半が「Adjust」か「Appsflyer」を採用しているのに対し、「Fate/Grand Order」は「Kochava」を採用している点が挙げられます。

 

Figure 6:
2020年5月1日
iOS版「Fate/Grand Order」採用SDK一覧

Figure 6

(Source : MIXRANK, iOS App, “Fate/Grand Order”, May 1st, 2020)

 
 
 
 
Airnow

Airnow社は、英国ロンドンに本社を持つ、アプリ・マネジメント・ソリューション提供会社です。アプリ市場分析データ、アプリ配信、アプリ・サイバーセキュリティ、アプリ・マネタイゼーションのサービスをワンストップで提供しています。Airnow Data(旧PrioriData)は、このAirnowのアプリ市場分析データサービス部門。アプリストア上でランキングされているアプリのダウンロード数、売上金額データを提供しています。デイリーベースで55カ国、カテゴリ分析、パブリッシャー市場占有状況、ダウンロード数、売上金額、DAU、MAU、及びARPDAU(1日のアクティブユーザー一人当たりの売上金額)のデータを提供しています。MAU、DAUは通常アプリに実装された測定用SDKを使い、モバイルアプリユーザをパネルとして推定値を出しますが、 Airnow Data(旧PrioriData)は、Airnow社傘下企業およびデータパートナーとの提携により150万社のデベロッパー及びパブリーシャーデータと、トラッキング対象ディバイスは35億とビックデータを活用し算出されているのが特徴です。クライアントにはHSBC, Mastercard, ebay, PayPal, Unilever, Sony, BMWなどがあります。

詳しくは https://www.airnowjapan.com/

 
 
MixRank

米国サンフランシスコで生まれた先進的なテクノロジーデータ「MIXRANK」は、WebサイトテクノロジーからモバイルSDKデータ、ディスプレイ・テキスト広告まで、総括的にデータをトラックします。特にWebテクノロジーと、iOSを含むモバイルアプリ・SDKデータの両方をトラックしている企業はほとんどなく、MIXRANKが高い評価を受けてる理由の1つです。SDKに関しては、世界200カ国、アプリ及びアプリ内で採用されているSDKデータを提供。取得が難しいと言われるiOSのアプリデータに関しても、760万以上のiOSアプリの実装SDKデータを保有。さらにそれがいつ採用され、いつ削除されたかのデータも提供可能です。

詳しくは https://interarrows.com/mixrank.html

 
 

データ提供

インターアローズ

株式会社インターアローズ

インターアローズは、 デジタルマーケティング&ソリューション・エージェンシー。ICT世界市場における技術動向の調査および評価を通じて、革新的なインターネットデータおよびソリューションサービスを顧客に提供しています。 弊社はまた、グローバルな技術とビジネスを日本に紹介することを専門としています。 戦略的海外パートナーには、comscore、MIXRANK、UXCam、およびCrazy Eggがあります。 インターローズは東京とロンドンにオフィスを構えています。

詳しくは http://www.interarrows.com/

 
 

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★全世界55カ国のApple App Store、Google Playでランキングされているアプリのダウンロード数、売上金額データをご提供!
スマーフォンアプリ市場分析データ Airnow Data(旧Priori Data):https://www.airnowjapan.com/

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担当:高橋 治彦  takahashi@interarrows.com