インターアローズ デジタル市場レポート 2020年8月号

インターアローズ デジタル市場レポート
2020年8月号

国内・米国Apple App Store上半期レビュー

時が経つのは早いもので、本年もすでに半年が過ぎ、下半期に突入しております。そこで今回のレポートは、本年上半期を振り返り、国内・米国Apple App Storeでのアプリのレビューをレポートします。特に本年においては、コロナ禍による影響がアプリにも反映し、これによりダウンロード数・売上金額が急増したもの、急減したものが発生して、過去にはなかった事態となっています。

このレポートでは、特にコロナ禍の影響が大幅に出現した第2四半期(4月-6月)のアプリパフォーマンスを調査し、これをコロナ禍の影響がまだ出ていなかった第1四半期(1月-3月)と比較することにより、今回のコロナ禍がどのようにアプリのパフォーマンスに影響したのかをレポートします。

まず本年第2四半期(4月-6月)、国内Apple App Storeのダウンロード数ランキングトップ10のアプリを調査すると、コロナ禍によってテレワークに移行したユーザー数を反映して、TV会議システムアプリの「Zoom Cloud Meetings」「Microsoft Teams」が大幅にダウンロード数を急増させたことが分かります。また外出を抑制した影響で、フードデリバリー の「Uber Eats」、自宅の余暇時間の増加によってゲームの「どうぶつの森:ポケットキャンプ」がダウンロード数を増加させています。

逆にダウンロード数が減少したのは、QRコード決済の「PayPay」。すでにダウンロード数増加のピークは過ぎており、またこの期間大胆なキャペーンを抑制した結果と推察できます。

 
 

Figure 1
国内Apple App Store
2020年4月-6月
ダウンロード数トップ10アプリ

Figure 1

(Source : Airnow : Priori Data, Apple App Store, April 1 – June 30, 2020, Japan)

 

次にコロナ禍の影響で、どのアプリがダウンロード数を急増させたかをより明確にするため、第1四半期からの増加数によるランキングを調査してみると、「Zoom Cloud Meeting」が、700万を超える増加数で圧倒的であったのが分かります。その他第4位までは全てTV会議システム関連アプリとなっていますが、第2位の「Microsoft Teams」の増加数は、「Zoom Cloud Meeting」の1/4程度に過ぎない結果となっています。

その他、この期間にダウンロード数を増加させたのは、給付金の申請オプションだった「マイナポータルAP」、アップデートによりさらに顔写真編集機能を進化させた「FaceApp」、「Twitter」や「Instagram」に簡単に貼り付けることができる匿名質問アプリの「BoxFresh」、フードデリバリーの「Uber Eats」等が挙げられます。

 

Figure 2
国内Apple App Store
2020年4月-6月 vs 2020年1月-3月
ダウンロード数増加数トップ10アプリ

Figure 2

(Source : Airnow : Priori Data, Apple App Store, January 1 – June 30, 2020, Japan)

 

次に売上金額ではどうだったのでしょうか?下記Figure 3は、本年第2四半期の売上金額トップ10アプリとなります。カテゴリ的には、ゲームがトップ10中8アプリとなっていますが、コロナ禍による自宅待機時間増加の影響か、マンガ・コミックアプリの「LINEマンガ」「ピッコマ」がトップ10内にランクインしています。

ゲームに関しては、全てが売上を増加させている訳ではなく、「荒野行動」「Pokemon Go」「モンスターストライク」は売上を増加させていますが、「Fate/Grand Order」「ドラゴンクエストウォーク」は大幅に売上を減少させています。

 

Figure 3:
国内Apple App Store
2020年4月-6月
売上金額トップ10アプリ

(Source : Airnow : Priori Data, Apple App Store, April 1 – June 30, 2020, Japan)

 

ダウンロード数同様、第1四半期からの売上金額の増加額でランキングを調査すると、バトルロイヤル系ゲーム「荒野行動」が最大の売上増を達成したことがわかります。その金額は1,000万ドルを超え、これに「Pokemon Go」「モンスターストライク」が僅差で続きます。

その他売上金額の増加額で特徴的なのは、「ピッコマ」「LINEマンガ」のコミックアプリが、売上金額のみならず増加額でもトップ10内にランクインした点、リリースが2015年にもかかわらず、「ONE PIECE」のコミックを無料購読させ、さらに新しいステージ・イベントを追加したゲームアプリ「ONE PIECEトレジャー・クルーズ」が売上を急増させた点、この期間TVスポットキャンペーンで話題となったライブ・ストリーミング動画の「LIVIT(17 Live)」が挙げられます。

 
 

Figure 4:
国内Apple App Store
2020年4月-6月 vs 2020年1月-3月
売上金額増加額トップ10アプリ

(Source : Airnow : Priori Data, Apple App Store, January 1 – June 30, 2020, Japan)

 

では同時期米国のApple App Storeではどのような状況だったのでしょうか?まずダウンロード数では日本同様「Zoom Cloud Meetings」がトップにランクされています。ただそのダウンロード数は膨大で、日本の870万に対して、2,830万と3倍以上のダウンロード数となっています。また日本にない特徴として、一昨年前から特にアジア地区で人気を博した、ショートムービーの「Tik Tok」が第2位にランクイン。またコロナ禍の影響で、オンライン上でパーティ・飲み会ができるアプリの「Houseparty」が第10位にランクインしています。

 

Figure 5:
米国Apple App Store
2020年4月-6月
ダウンロード数トップ10アプリ

(Source : Airnow : Priori Data, Apple App Store, April 1 – June 30, 2020, US)

 

本年第2四半期のダウンロード数を第1四半期からの増加数で比較した場合、米国でも日本同様「Zoom Cloud Meetings」が圧倒的な増加を達成したことが分かります。その数は2,000万を超える数値となっています。日本との違いは、同様にTV会議系アプリが上位に来ていますが、トップ10に入っているのは「Google Meet」のみで、日本であった「Microsoft Teams」「Google Classmate」は米国では増加数トップ10外の結果となっています。また前述の「Houseparty」は、明らかにコロナ禍の影響で、第3位にランクインしています。

 

Figure 6:
米国Apple App Store
2020年4月-6月 vs 2020年1月-3月
ダウンロード数増加数トップ10アプリ

Figure 6

(Source : Airnow : Priori Data, Apple App Store, January 1 – June 30, 2020, US)

 

次に米国における本年第2四半期での売上金額ランキングを調査すると、トップはゲームの「Roblox」。その売上金額は1億4,442万ドルと驚異的な数値となっています。このアプリは、レゴブロックのように自分でゲームを作ることができ、それを友人とプレイできるもので、2011年にリリースされたにも関わらず、いまだに人気を博しています。この期間で特徴的なのは、コロナ禍の影響か、出会い系の「Tinder」、音楽の「Pandora」、動画の「Netflix」が売上金額のトップ10にランクインしていますが、第1四半期と比較すると、1,200万ドル以上売り上げを減少させています。

 

Figure 7:
米国Apple App Store
2020年4月-6月
売上金額トップ10アプリ

Figure 7

(Source : Airnow : Priori Data, Apple App Store, April 1 – June 30, 2020, US)

 

最後に第1四半期からの増加額のトップ10アプリを調査すると、トップ10中、9アプリがゲーム系であることが分かります。トップはバトルロイヤル系ゲームの「Fortnite」。日本でのトップは「荒野行動」となっていますが、米国での人気はそれ程高くはなく、同様のバトルロイヤル系ゲームでは、第4位に「Call of Duty: Mobile」、第6位に「PUBG Mobile」がランクインする結果となっています。

その他特徴的なのは、第5位にゲームのライブストリーミングアプリの「Twitch」、第10位にシンガポール発、「17Live」に似たライブストリーミングアプリ「BIGO LIVE」が挙げられます。米国でもライブストリーミングアプリに人気が出てきているのかもしれません。

 

Figure 8:
米国Apple App Store
2020年4月-6月 vs 2020年1月-3月
売上金額増加額トップ10アプリ

Figure 8

(Source : Airnow : Priori Data, Apple App Store, January 1 – June 30, 2020, US)

 

iOS版「Draw Climber」アプリ 使用SDK一覧

弊社が国内総代理店となっている米国MIXRANKは、データの取得が難しいiOSアプリ内での採用SDKデータを提供できることで、世界的に高い評価を得ています。今回のレポートは、このMIXRANKのデータを使用して、本年米国で2020年リリースアプリ ダウンロード数No.1となったフランスVoodoo社の「Draw Climber」を取り上げ、ハイパーカジュアルゲームの最先端を行くこのアプリが、現在どのSDKを採用しているのかを調べてみました。

下記Figure 9が、本年3月23日のアップデートの際に「Draw Climber」が採用したSDKの一覧となります。その最大の特徴は、「AppLovin」「GameAnalytics」「Tenjin」等、ゲームユーザーの行動分析に特化したSDKを併用し、その上で「Admob」「Tapjoy」「AdColony」「InMobi」「MoPub」「SupersonicAds」「Unity Ads」「Vungle」等の広告関連SDKを多用していることが想定できます。これは、ビジネスモデルが広告収入となっているハイパーカジュアルゲームにとっては、当然な施策であると言えます。

 

Figure 9:
2020年3月11日
iOS版「Draw Climber」採用SDK一覧

Figure 9

(Source : MIXRANK, iOS App, “Draw Climber”, March 23, 2020)

 

その他の特徴としては、アプリ開発にはマルチプラットフォームの開発が可能な「Unity」を採用し、広告効果では「Adjust」、クラッシュ分析には「Crashlytics」「fabric」、さらにFacebook関連のSDKを多用して、Facebookとの連携を強化していることが推察できます。

 
 
 
MixRank

Airnow「PRIORI DATA」は、2013年設立、英国ロンドンに本社を持つ、スマートフォンアプリ市場分析データ会社です。アプリストア上でランキングされているアプリのダウンロード数、売上金額データを提供しています。デイリーベースで54カ国、カテゴリ分析、パブリッシャー市場占有状況、ダウンロード数、売上金額、DAU、MAU、及びARPDAU(1日のアクティブユーザー一人当たりの売上金額)のデータを提供しています。MAU、DAUは通常アプリに実装された測定用SDKを使い、モバイルアプリユーザをパネルとして推定値を出しますが、 Airnow「PRIORI DATA」は傘下のAirpuh及びデータパートナーとの提携により150万社のデベロッパー及びパブリーシャーデータと、トラッキング対象ディバイスは35億とビックデータを活用し算出されているのが特徴です。クライアントにはHSBC, Mastercard, ebay, PayPal, Unilever, Sony, BMWなどがあります。

詳しくは http://prioridata.net/

 
 
MixRank

米国サンフランシスコで生まれた先進的なテクノロジーデータ「MIXRANK」は、WebサイトテクノロジーからモバイルSDKデータ、ディスプレイ・テキスト広告まで、総括的にデータをトラックします。特にWebテクノロジーと、iOSを含むモバイルアプリ・SDKデータの両方をトラックしている企業はほとんどなく、MIXRANKが高い評価を受けてる理由の1つです。SDKに関しては、世界200カ国、アプリ及びアプリ内で採用されているSDKデータを提供。取得が難しいと言われるiOSのアプリデータに関しても、760万以上のiOSアプリの実装SDKデータを保有。さらにそれがいつ採用され、いつ削除されたかのデータも提供可能です。

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データ提供

インターアローズ

株式会社インターアローズ

インターアローズは、 デジタルマーケティング&ソリューション・エージェンシー。ICT世界市場における技術動向の調査および評価を通じて、革新的なインターネットデータおよびソリューションサービスを顧客に提供しています。 弊社はまた、グローバルな技術とビジネスを日本に紹介することを専門としています。戦略的海外パートナーには、Airnow(Priori Data)、comscore、MIXRANK、UXCam、およびCrazy Eggがあります。 インターローズは東京とロンドンにオフィスを構えています。

詳しくは http://www.interarrows.com/

 
 

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