インターアローズ デジタル市場レポート 2020年4月号 No.2

インターアローズ デジタル市場レポート
2020年4月号 No.2

米国、中国、日本比較:
新型コロナウイルスによってダウンロード数が急増したアプリトップ5

現在世界的に猛威を奮っている新型コロナウイルスは、人類とって甚大な損失と打撃を与えると同時に、スマートフォンアプリ業界に対しては、今までになかったユーザーの行動を引き起こしています。今回は、米国、中国、日本を取り上げ、新型コロナウイルスの影響でダウンロード数が急増したアプリのトップ5を調査し、各国でどのような違いがあるのかレポートします。なおプラットフォームはApple App Storeで、対象期間は2020年3月15日から4月13日までの30日間とし、そこから過去30日間と比較した場合の、増加数トップ5アプリをリストアップしています。

 

米国

米国で特徴的なのは、既にニュース等で報じられているように、ニューヨークをはじめとする主要都市のロックダウンに伴い、会社で仕事ができない事情から、TV会議システム関連アプリのダウンロード数が急増している点です。トップの「Zoom Cloud Meeting」は、前期間から1,000万以上のダウンロードを記録し、その増加率は1,471%となっています。この動きは「Zoom」のセキュリティ上の問題が指摘された後、第3位の「Hangouts Meets by Google」に移行し、「Hangouts」の増加率は、2,993%と驚異的な増加率となっています。

その他米国で特徴的な点は、第2位に「Google Classroom」がランクインしている点です。「Google Classroom」は、Googleと米国内の教育者が協力して開発した教育関連アプリで、このアプリを使って、教師は生徒へ課題の出題と採点、生徒へのフィードバック、コミュニケーションの維持を行うことができます。コロナウイルスによって、学校がロックアウトされた環境下おいて、このようなアプリのダウンロード数が急増するのは非常に米国的と思われます。

反面、米国ではエンターテイメント系のアプリのダウンロード数も急増しており、第4位には、オンラインで友人とビデオチャットとパーティができる「Houseparty」、キプロスのゲームパブリッシャーが開発した無料のカジュアルゲーム「Perfect Cream」のダウンロード数も急増しています。

 

Figure 1
米国Apple App Store
2020年2月13日-3月14日 vs 3月15日-4月13日
ダウンロード数急増トップ5アプリ

Figure 1

(Source : Priori Data, Apple App Store, February 13 – April 13, 2020, US)

 

中国

中国は、このタイミングではすでにコロナ危機を回復してしまったのか、または単独政権による規制の問題か、他国とは全く違ったアプリの利用となっています。まず米国をはじめとして世界各国で爆発的に普及したTV会議システムのアプリは上位に上がってきていません。中国では「Skype」や「LINE」は許されておりませんが、「Zoom」の利用は可能です。しかしながら、2020年1月-3月のダウンロードランキングでは、ダウンロード数160万で83位に止まっています。

中国で、この期間最大のダウンロード数の急増を記録したのは「个人所得税」。これは所得税の申請アプリです。コロナウイルスの影響ではなく、納税のタイミングに当たったため、ダウンロード数が急増したことが推察できます。第2位は、Eコマースアプリの「淘宝特价版」。また3位から5位までは全てゲームアプリとなっており、第3位は中国のゲーム開発会社Ohayooのシミュレーションゲーム「宝剑大师」、第4位は、フィンランドのゲーム開発会社Two Men and a Dog Gameのアーケードゲーム「Walk Master」、第5位は、中国Wuhan Weipei Network Technologyのアーケードゲーム「贪吃蛇进化论」となっています。

 

Figure 2
中国Apple App Store
2020年2月13日-3月14日 vs 3月15日-4月13日
ダウンロード数急増トップ5アプリ

Figure 2

(Source : Priori Data, Apple App Store, February 13 – April 13, 2020, China)

 

日本

一方国内では、他国とは違った結果となっています。第1位は米国同様、「Zoom Cloud Meeting」となっていますが、それ以下は全てゲーム関連アプリとなっています。第2位はゲームの「どうぶつの森:ポケットキャンプ」、第3位は「Nintendo Switch Online」の任天堂関連のアプリです。

この背景には、コロナウイルスの影響ならびに学校が休校になったタイミングで、任天堂の大型新作ゲームSwitch版「あつまれ どうぶつの森」が3月22日にリリースされたことが起因していると思われます。「あつまれ どうぶつの森」パッケージ版は、発売3日間で188万本を販売し、Nintendo Switch向けソフトで過去最高の初速を記録しています。またスマートフォン版「どうぶつの森:ポケットキャンプ」との連携が可能で、さらに「Nintendo Switch Online」利用者に特典をつけたために、この2つのアプリのダウンロード数が急増したことが考えられます。

第4位と第5位は、新作のゲームアプリで、第4位はアイディアファクトリーからリリースされた、ラップをフィーチャーした音楽ゲームアプリ「ヒプノシスマイク -A.R.B-」。第5位は、「Fate/Grand Order」を運営するAniplexがウォルト・ディズニー・ジャパン協力のもとに開発したRPG・アドベンチャーゲーム「ディズニー ツイステッドワンダーランド」。シナリオとキャラクターデザインをコミック「黒執事」を執筆した枢やな氏が担当していることで話題を集めています。

 

Figure 3:国内Apple App Store
2020年2月13日-3月14日 vs 3月15日-4月13日
ダウンロード数急増トップ5アプリ

(Source : Priori Data, Apple App Store, February 13 – April 13, 2020, Japan)

 

スマートフォンアプリ市場としての「インド」

現在スマートフォンアプリ・パブリッシャーは、中国に次ぐ巨大市場としてインド市場に注目しています。その背景には、中国市場が予想以上に急速に拡大し、現在は日本市場を上回る規模になった反面、中国政府の規制が強く、自社の収益が上がらない不満から、インド市場に期待するパブリッシャーが増加しています。では現在実態はどうなのか?今回は2019年Apple App Store、Google Playでのダウンロード数、売上金額、各プラットフォームでのトップ10アプリを分析して、インドのスマートフォンアプリ市場についてレポートします。

まずインド市場の特徴として、Google Playの市場規模がApple App Storeを大きく上回る点が挙げられます。理由は、インド人にとってiPhoneは高額なため、安価なAndroid携帯端末の方が普及するからです。またインド人はパソコンを持っていない人が多いため、格安携帯でインターネットを楽しむことができることから、人口12億に対して、携帯電話加入者数はすでに10億を超えるまでに急増しています。

具体的にインドのApple App StoreとGoogle Playを比較すると、2019年の累計ダウンロード数では、Google Playの137億に対して、Apple App Storeは4.6億と、その差は30倍近い差があります。ちなみに日本のGoogle Playの累計ダウンロード数と比較した場合には、インドのダウンロード数は日本の約15倍となっていることが分かります。

売上金額の場合は、AppleとGoogleとの差は、2.5倍程に縮まりますが、総額としてはまだ少額で、日本市場と比較した場合、インド市場は両アプリストアとも日本の10%以下に止まっています。インドでは携帯ユーザー数は、日本の約10倍ありますが、現時点ではアプリのコンテンツにお金を払うユーザーは限られています。

 

Figure 4:

(Source : Priori Data, Google Play, FY2019, India)

 

では現状インドではどのようなアプリに人気があるのでしょうか?2019年インドGoogle Playでの年間累計ダウンロード数トップ5を調べて見ると、自国のアプリが少なく海外からのアプリが上位を占めています。トップは、一昨年から世界中で大ヒットしている中国発のショートムービーSNSアプリ「TikTok」。「TikTok」はインドでも大人気で、そのダウンロード数は2億2千万を超えています。第2位は米国のメッセンジャーアプリ「WhatsApp」、第3位はシンガポールの動画編集アプリ「Likee」、第4位は自国インドの出会い系SNSアプリ「Helo」、第5位は、中国のファイル転送・共有アプリ「SHAREit」となっています。

 

Figure 5:
インド Google Play
2019年累計ダウンロード数トップ5アプリ

(Source : Priori Data, Google Play, FY2019, India)

 

次に売上金額のトップ5を調査すると、上位3位までは海外のゲーム、4位、5位は出会い系のアプリになっていることが分かります。トップは韓国(但しパブリッシャーは中国のTencent Games)のバトルロイヤル系アクションゲーム「PUBG MOBILE」。インドではこのカテゴリのゲームアプリに人気があり、第2位にもシンガポール発同カテゴリの「Garena Free Fire: Wonderland」が入っています。但し、売上金額はトップの「PUBG MOBILE」でも年間20億円程度に止まっています。第3位はイスラエルのカジュアルゲーム「Coin Master」。第4位は米国の出会い系アプリ「Tinder」。第5位は香港の出会い系アプリ「LivU」となっています。

 

Figure 6:
インド Google Play
2019年累計売上金額トップ5アプリ

Figure 6

(Source : Priori Data, Google Play, FY2019, India)

 

最後にこのようなインド市場において日本のアプリの状況はどうなっているのでしょうか?インドGoogle Playで日本のアプリのみをピックアップして、その売上金額トップ5を調べてみると、金額はまだ少額に止まっているのが現状です。トップはKONAMIの「eFootball PES 2020」ですが、その売上金額は年間で3,000万円程度。その他日本のアプリでは「ドラゴンボール」のような日本のアニメのゲームが上位にきていますが、第2位の「DRAGON BALL LEGENDS」でも年間1,000万円程度の売上規模になっています。

現状インド市場は、膨大なユーザー数を利用して、ダウンロード数による広告ビジネスを展開した方が収益になるかもしれません。しかしながら、かつての中国がそうであったように、今後急激に市場が拡大する可能性があります。この後のこのインド市場をウォッチして、定期的にレポートしていきます。

 

Figure 7:
インド Google Play
2019年日本アプリ累計売上金額トップ5アプリ

Figure 7

(Source : Priori Data, Google Play, FY2019, India)

 

「プロ野球スピリッツA」アプリ 使用SDK一覧

この度弊社が契約を結んだ米国MIXRANK社は、データの取得が難しいiOSアプリ内での採用SDKのデータを提供できることで、世界的に高い評価を得ています。今回のレポートは、このMIXRANKのデータを使用して、現在コロナウイルス問題でダウンロード数が急増している「プロ野球スピリッツA」のiOSアプリを取り上げ、現状どのようなSDKを採用しているのか、また最新アップデートでどのようなSDKの入れ替えを行ったのかを調べてみました。
まず下記が、iOS版「プロ野球スピリッツA」アプリが2020年1月20日のアップデートの際に採用していたSDKの一覧となります。グレーにマークされているものが、前回のアップデートから継続的に採用しているSDK、グリーンにマークされたものが、新規に追加されたSDK、赤にマークされたものは削除されたSDKを示しています。

 
Figure 6

Figure 8:
2020年1月20日
「プロ野球スピリッツA」SDKアップデート内容

Figure 6

(Source : MIXRANK,「プロ野球スピリッツA」, January 20, 2020)

 

この結果から推測すると、「プロ野球スピリッツA」は、このアップデートで、言語やプラットフォームに依存せずに構造化されたデータをシリアライズする拡張可能なメカニズムの「Protobuf」、「Protobuf-c」、さらにobjectve-C言語に関する「Protocol-for-objectivec」を削除し、代りに「GoogleUtilities」と「nanopb」を採用することにより、アプリの最適化を図っていると思われます。
また下記が、最新の採用SDKの一覧です。主なものを挙げると、ユーザーの行動分析、広告分析に「Adjust」、広告表示に「Admob」、クラッシュ分析に「Crashlytics」、アプリ開発に「Firebase」関連SDK、ブラウザー表示に「Safari Services」を採用しています。

 

Figure 9:
2020年2月20日、採用SDK一覧

Figure 9

(Source : MIXRANK,「プロ野球スピリッツA」, February 20, 2020)

 
 
 
MixRank

Airnow「PRIORI DATA」は、2013年設立、英国ロンドンに本社を持つ、スマートフォンアプリ市場分析データ会社です。アプリストア上でランキングされているアプリのダウンロード数、売上金額データを提供しています。デイリーベースで54カ国、カテゴリ分析、パブリッシャー市場占有状況、ダウンロード数、売上金額、DAU、MAU、及びARPDAU(1日のアクティブユーザー一人当たりの売上金額)のデータを提供しています。MAU、DAUは通常アプリに実装された測定用SDKを使い、モバイルアプリユーザをパネルとして推定値を出しますが、 Airnow「PRIORI DATA」は傘下のAirpuh及びデータパートナーとの提携により150万社のデベロッパー及びパブリーシャーデータと、トラッキング対象ディバイスは35億とビックデータを活用し算出されているのが特徴です。クライアントにはHSBC, Mastercard, ebay, PayPal, Unilever, Sony, BMWなどがあります。

詳しくは https://interarrows.com/mixrank.html

 
 
MixRank

米国サンフランシスコで生まれた先進的なテクノロジーデータ「MIXRANK」は、WebサイトテクノロジーからモバイルSDKデータ、ディスプレイ・テキスト広告まで、総括的にデータをトラックします。特にWebテクノロジーと、iOSを含むモバイルアプリ・SDKデータの両方をトラックしている企業はほとんどなく、MIXRANKが高い評価を受けてる理由の1つです。SDKに関しては、世界200カ国、アプリ及びアプリ内で採用されているSDKデータを提供。取得が難しいと言われるiOSのアプリデータに関しても、760万以上のiOSアプリの実装SDKデータを保有。さらにそれがいつ採用され、いつ削除されたかのデータも提供可能です。

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データ提供

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株式会社インターアローズ

インターアローズは、 デジタルマーケティング&ソリューション・エージェンシー。ICT世界市場における技術動向の調査および評価を通じて、革新的なインターネットデータおよびソリューションサービスを顧客に提供しています。 弊社はまた、グローバルな技術とビジネスを日本に紹介することを専門としています。戦略的海外パートナーには、Airnow(Priori Data)、comscore、MIXRANK、UXCam、およびCrazy Eggがあります。 インターローズは東京とロンドンにオフィスを構えています。

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