2020年の第1弾は2019年度を総括し、国内Apple App Storeでのアプリ年間ダウンロード数トップ10、ならびに売上金額トップ10を紹介します。
まず2019年の年間ダウンロード数ランキングで特徴的なのは、かつてはランキング上位のほとんどはゲームアプリが占めていましたが、2019年では他のカテゴリのアプリがトップ10に入ってきたことが挙げられます。
ランキングトップは、QRコード決済アプリの「PayPay」。政府が進めるキャッシュレス化の波に乗り、さらに「100億円あげちゃうキャンペーン」で一気に知名度を上げ、1,500万を超えるダウンロード数を達成しました。
第2位はゲームアプリの「Mario Kart Tour」。コンシューマーゲームで世界的に人気を博したゲームのアプリ版とあって、日本のみならず世界中で上位にランクされています。第3位、第4位は動画アプリの「Amazon Prime Video」と「YouTube」。特に「Amazon Prime Video」は、オリジナルコンテンツを投入して、ユーザーを増加させています。
その他2019年のダウンロード数ランキングで特記すべきは、第8位の「SODA」と第10位の「そっくりさん」。「SODA」は、過去「SNOW」で人気を博したSNOW Corp.が開発した最新写真加工アプリで、特に少ない加工で自然な仕上がりに見せる「ナチュラル盛り」が女性に受けてこの結果となっています。また「そっくりさん」は、自分の顔が有名人の誰に似ているのか教えてくれることで話題となりました。両アプリに共通しているのは、バックエンドのテクノロジーの活用で、「SODA」では各種フィルターによる写真加工技術、「そっくりさん」では、顔認識技術とAIが使用されています。
Figure 1
2019年国内Apple App Store
年間ダウンロード数トップ10アプリ
(Source : Priori Data, Apple App Store, FY2019, Japan)
売上ランキングでは、トップ10中9アプリがゲームアプリとなっています。トップ3は前年同様「モンスターストライク」「Fate/Grand Order」「パズル&ドラゴンズ」。長年に渡りユーザーをキープし続けていますが、「モンスターストライク」「Fate/Grand Order」は前年に比較して、6,500万ドル以上売上を減少させています。
2019年のアプリ売上金額で特記すべきは、第4位に中国NetEase Games社の「荒野行動」がランクインした点です。過去、国内アプリ売上金額トップ10では、常に日本のゲームアプリが独占していましたが、今回初めて海外のゲームアプリが国内売上金額ランキングトップ10内にランクインした結果となっています。
その他、2019年で注目すべきアプリは、第5位ランクインしたコミックの「LINEマンガ」。「LINEマンガ」は、2019年で6周年を迎えましたが、これを記念したキャンペーンや新作の投入で着実に売上を伸ばしています。もう一つの注目アプリは、新作としてリリースされたゲームアプリの「ドラゴンクエストウォーク」。このアプリは、スクウェア・エニックスとコロプラとの共同開発でリリースされたゲームアプリで、「Pokemon GO」同様、位置情報をフィーチャーしたものとなっています。昨年9月にリリースされたのにも関わらず、2019年にはApple App Store単独でも1億1000万ドル以上の売上を記録しています。
Figure 2
2019年国内Apple App Store
年間売上金額トップ10アプリ
(Source : Priori Data, Apple App Store, FY2019, Japan)
スクリーンショット
(Source : Apple App Store)
次に、2019年Apple App Storeのグローバル市場(主要54ヶ国)におけるアプリダウンロード数ランキングトップ10を調べてみると、上位に入っているアプリは、昨年からあまり変化がないことがわかります。
グローバルトップは、動画アプリの「YouTube」。その他2位以下の定番のアプリとしては、SNSの「Instagram」「facebook」、メッセンジャーアプリの「What’s Messenger」「(Google)Messenger」、地図アプリの「Google Maps」、動画の「Netflix」がトップ10内にランクインしています。但し、これらの定番アプリは前年より大幅にダウンロード数を減少させています。
2019年の新しい動きとしては、まず第2位に日本の「Mario Kart Tour」が入った点が挙げられます。そのダウンロード数は1.2億を超え、グローバル市場でのMarioの人気を証明しています。また2019年は、無料・広告モデルで、誰でもマニュアルなしで簡単にプレイできる「ハイパーカジュアルゲーム」の人気が高まり、第9位にトルコGood Job Games社の「Color Bump 3D」ランクインしています。またアジアで爆発的にヒットしたショートムービープラットフォームの「Tip Tok」がグローバル市場でも第10位となっています。
Figure 3
2019年グローバル市場Apple App Store
年間ダウンロード数トップ10アプリ
(Source : Priori Data, Apple App Store, FY2019, Global)
次にグローバル市場における売上金額ランキングを見てみると、日本とは異なり、トップ3は、ゲーム以外のアプリになっていることがわかります。
グローバル市場のトップは動画アプリの「Netflix」。これに同じ動画の「YouTube」が続きます。また第3位は出会い系の「Tinder」となっており、これに続く4位から10位までが全てゲームアプリとなるランキング構成となっています。グローバル市場では、動画系アプリと出会い系アプリの売上金額が高いことがわかります
ゲームアプリのトップはスウェーデンKing社の「Candy Crush Saga」。2013年にリリースされたのにも関わらず、現在でもゲームアプリでは第1位をキープし、その売上金額は3億8,000万ドルを超える結果となっています。またゲームアプリ第2位はアメリカRoblox Corporation社の「Roblox」。このゲームアプリはさらに長期間に渡って成功しており、前年対比でも1億ドル以上売上を増加させています。「Roblox」は、レゴブロックのような感覚で自作のゲームを公開できるプラットフォームで、この点が長期間人気を博していると推察できます。
グローバル市場でも日本のゲームアプリは健闘しており、「モンスターストライク」がゲームアプリで第4位、「Fate/Grand Order」が5位にランクインしています。但し、売上の大半は日本市場からのものであり、海外市場からの売上は極端に低くなっています。
Figure 4
2019年グローバル市場Apple App Store
年間売上金額トップ
(Source : Priori Data, Apple App Store, FY2019, Global)
スクリーンショット
January 2, 2020, by Anastasia Khomych
(https://uxcam.com/blog/gaming-elements-app-best-practices/)
今日のモバイルゲームの人気の高まりにより、ますます多くの企業がゲーム要素を借用し、それらをゲーム以外の製品に統合しています。
モバイルゲームは、現在世界中のアプリ市場をアクティブに征服しています。 ドイツの調査会社Statistaの最近のレポートによると、現在世界中に23億人以上のアクティブなモバイルゲーマーがおり、この数は増え続けています。
なぜ人々はゲームに夢中になっているのでしょうか?以下では、ゲーミフィケーションの例を示します。
1998年、英国のマティアス・ケップ教授は、ゲームが人間の脳にどのように影響するかを研究しました。彼は、プレイヤーがゲームを進行し、より困難な課題に直面するにつれて、脳がより多くのドーパミンを放出することを発見しました。
モバイルゲームの場合、ドーパミンレベルはさらに高くなる可能性があります。何故ならモバイルゲームはいつでも、どこでも、オフラインでも簡単にアクセスしてプレイできるためです。
そのため、モバイルアプリの成功にはゲーム要素が不可欠です。ゲーム以外のアプリでのゲーミフィケーションは、ユーザーを維持するのに役立ちます。ユーザーはゲームのようにアプリに夢中になります。
今日、ますます多くのモバイルアプリが、ユーザーエンゲージメントを高め、ユーザーが何度も戻ってくることを期待して、UXにゲーム要素を導入しています。しかし、それを正しく行うためには、いくつかのルールに従い、この記事で説明するベストプラクティスから学ぶ必要があります。
アプリコミュニティのニーズ、要望、特性を慎重に検討することが重要です。 その結果、アプリ内でゲーム要素を導入する方法をよりよく理解できます。
たとえば、貴社のアプリを利用しているユーザーや潜在的なユーザーにアンケートを送信して、通常どのモバイルゲームをプレイし、それらのゲームについて何が一番好きかを調査することが重要です。 Marc Hulseboschの研究では、ゲームプレイヤーには、下記4つの主要なタイプが存在することが言及されています。
達成者 : ゲームコンテンツ内で、達成に焦点を当てる人
エクスプローラー :ゲームの世界をできるだけ見ようとする人
社交者 :ゲームを使用して他のプレイヤーと通信する人
キラー :他のプレイヤーを競合相手と見なし、それらとの戦いを目指している人
上記のゲーマータイプを使用して、アプリに組み込むべきゲーミングメカニズムを明らかにすることができます。たとえば、オーディエンスの大部分が「達成者」である場合、例えば、ユーザーの成果・達成を視覚的に表すバッジの付与等、達成ベースのメカニズムを使用すべきです。
以下は、ゲーム以外のアプリで既に使用されている最も一般的で効果的なゲーミフィケーションの例です。
アプリ内通貨:ゲーム内特典を「購入」するために後で使用できる報酬。例えば、言語学習アプリDuolingoは、各レッスンの完了に対して内部通貨(lingoリンゴ)を授与します。
レベル:難易度が異なるゲームワールドの一部です。例として作業効率化アプリであるTodoistを使用すると、ユーザーは毎日のタスクを完了する度にカルマポイントを獲得して、レベルをアンロックできます。
バッジ:アプリ内のユーザーの達成度を視覚的に表現します。例として、フィットネストラッキングアプリであるFitbitは、1日1万歩歩くなどの特定のアクティビティを完了するとバッジを授与します。
ジャーニー:ユーザーをアプリに合わせてパーソナライズした方法で導き、ユーザーが製品の使用経験を積むにつれて徐々に新しい機能のロックを解除する方法です。例として、Singifyは、カラオケを通して学び、歌いたい人向けのアプリで、アプリ内でのユーザーの進行を支援する便利なチュートリアルを提供することで、ユーザーを「音楽の旅」に誘います。
進行状況ダッシュボードまたは進行状況バー:アプリ内でのユーザーの進行状況をグラフィカルに表示します。例として、教育アプリのKhan Academyは、銀河をテーマにした達成システムとしての進捗状況を表示します。
リーダーボード:特定のアクティビティのリーダーを示すスコアに応じたプレーヤーのランキングです。例として、さまざまなフィットネスクラスにアクセスできるアプリであるPelotonを使用すると、ユーザーは他のユーザーが同じトレーニングを行っているかどうかを確認し、パフォーマンスを他のユーザーとリアルタイムで比較できます。
ポイント:ゲーム内の各達成に対してユーザーが獲得する最も基本的な報酬。例として、Todoistは、ユーザーにアプリの次のレベルのロックを解除するために使用できるカルマポイントを授与します。
ソーシャルインタラクション:アプリ内チャット、ユーザーグループ等、または共有を可能にするユーザー間のコミュニケーションです。例として、健康とフィットネスのジャーナリングアプリであるMealLoggerを使用すると、ユーザーはグループに参加して自分の経験について話し合うことができます。
チャレンジ:特定の目標を達成することに専念しているアプリ内のイベントです。例として、Snapchatは、特定の目標を達成するためのいわゆるトロフィーをユーザーに授与します。多くの場合、音声なしのビデオスナップを送信できたり、午前4時から5時の間にスナップを送信したりします。
ゲーミフィケーションを始めると、実際にはアプリではなく、ゲームのように見えてくるまで、ゲーミフィケーションの誘惑に抵抗するのが難しくなるかもしれません。従って、制限を把握し、製品をゲームに完全に変換しようとしないことが重要です。主な目標は、ゲーム業界から学び、必要な要素のみを実装することです。
たとえば、アプリの対象ユーザーが何かをすばやく見つけたり学習したりする必要がある場合、難易度の高いタスクやレベルをアプリに多量につぎ込まないで下さい。ユーザーがこれらのレベルの1つで立ち往生すると、興味を失い、アプリの使用を止める可能性があります。誰もがポイントやバッジをを獲得することに興味があるわけではないので、ゲーム要素はあくまでオプションにすべきです。
ゲーム要素は、貴社アプリの実際の価値を下げてしまう恐れがあります。これを回避するには、娯楽のためにユーザーの気を散らすのではなく、ゲーミフィケーションがユーザーのアプリの旅をどのようにサポートできるかに注目して下さい。これは、ゲーム開発者が使用する認知フローの原則の助けを借りて行うことができます。
この原則によれば、スキルが低いのに難しすぎるタスクを課すと、ユーザーは不安になります。反対に、単純すぎるタスクと高度なスキルの場合は、ユーザーは退屈になります。しかしながら、スキルと難易度が程良い程度比例する場合、ユーザーはアプリを継続使用する状態になります。このバランスが、貴社アプリにゲーミフィケーションを実装する際に必要なものになります。
モバイルゲームは開発段階で、バグ修正等、徹底的にテストされており、ゲーミフィケーション実装もこのパターンにも従う必要があります。最初のゲーミフィケーション版をリリースする際には、事前にそれらがアプリにシームレスに統合され、パフォーマンスが良好であることを確認して下さい。
ゲーミフィケーション版は、すべて同時にリリースする必要はないことにご留意下さい。 ゲーミフィケーション版は、徐々に実装して、ユーザーエクスペリエンス、エンゲージメント、リピートにどのような影響があるかを確認すべきです。またアプリ対象ユーザーの一部に対し、新機能をベータテストすることをお勧めします。
ベータテストプロセスにおいては、報酬などのゲーム要素を追加することもできるため、最初から、ゲーミフィケーション版をテストすることができます。
今日のモバイルゲームの人気の高まりにより、ますます多くの企業がゲーム要素を借用し、それらをゲーム以外のアプリに統合しています。このようなゲーミフィケーションにより、ユーザーは常にアプリに夢中になり、そのアプリを離せない状態になります。ゲームの要素は対象となる視聴者によって異なりますが、ほとんどの場合、これらは次の内容となります。
・「Duolingo」の「lingo」のようなアプリ内通貨
・「Fitbit」の「Serengeti」のようなバッジ
・「Khan Academy」の「galaxy」達成システム等のプログレス・バー
・「Todoist」の「Karma」ポイント
・「MealLogger」のユーザーグループのようなソーシャルインタラクション
・「Snapchat」のトロフィー等のチャレンジ
但し、重要なことは、あまりに多くのゲーム要素を追加して、自社アプリを「過剰にゲーミング」し、自社アプリの本当の価値を下げさせないことです。バランスを保って下さい。それができれば、ユーザーは、「継続使用」の状態に入り、アプリを長く使用し続けます。 是非、上記ゲーミフィケーションの例に従って、アプリのUXを改善して下さい!
AppScatter「PRIORI DATA」は、2013年設立、英国ロンドンに本社を持つ、スマートフォンアプリ市場分析データ会社です。アプリストア上でランキングされているアプリのダウンロード数、売上金額データを提供しています。デイリーベースで54カ国、カテゴリ分析、パブリッシャー市場占有状況、ダウンロード数、売上金額、DAU、MAU、及びARPDAU(1日のアクティブユーザー一人当たりの売上金額)のデータを提供しています。MAU、DAUは通常アプリに実装された測定用SDKを使い、モバイルアプリユーザをパネルとして推定値を出しますが、AppScatter「PRIORI DATA」は傘下のAirpuh及びデータパートナーとの提携により150万社のデベロッパー及びパブリーシャーデータと、トラッキング対象ディバイスは35億とビックデータを活用し算出されているのが特徴です。クライアントにはHSBC, Mastercard, ebay, PayPal, Unilever, Sony, BMWなどがあります。
株式会社インターアローズ
インターアローズは、 デジタルマーケティング&ソリューション・エージェンシー。IT世界市場における技術動向の調査および評価を通じて、革新的なインターネットデータおよびソリューションサービスを顧客に提供しています。 インターアローズはまた、グローバルな技術とビジネスを日本に紹介することを専門としています。戦略的海外パートナーには、Comscore、appScatter(Priori Data)、MIXRANK、UXCam、Crazy Egg、Kissmetrics、およびMailUpがあります。 インターローズは東京とロンドンにオフィスを構えています。
インターアローズの詳しい内容につきましては、下記をご参照下さい。
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